東京オリンピックに向けた駅工事が本格化する中、新たに五輪後に工事がスタートする新線計画や、既存路線の延伸計画が相次いで浮上してきている。鉄道建設は「計画3年、工事7年」が基本。五輪後工事スタートのためには、そろそろ計画を具体化する時期が来ているのだ。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
五輪後に工事スタート!
新線や延伸計画が目白押し
今月24日で東京オリンピック開催までちょうど2年となり、都内では新国立競技場をはじめとする競技会場や、選手村などの各種関連施設の整備が急ピッチで進められている。
鉄道各社の取り組みもヤマ場を迎えつつある。大会の輸送運営計画では「鉄道をはじめとする高密度かつ信頼性の高い東京の交通網を十分に活用する」とされており、観客やスタッフの移動のほとんどは鉄道が担うことになる。JR千駄ケ谷駅や原宿駅、東京メトロ外苑前駅など競技会場の最寄り駅で、階段やコンコースの拡張工事や、エレベーターや多機能トイレの増設などバリアフリー設備の設置工事が本格化している。
首都圏の鉄道各社はこれからの2年間、総力を結集してハード・ソフトの両面で準備を進めていくことになるが、その一方でオリンピック後を見据えた鉄道計画の具体化も始まっている。
都市部の鉄道建設に要する期間は約10年、そのうち約3年が都市計画決定や環境アセスメントなどの手続き期間で、約7年が実際の工事期間だ。今から動き出せば、ちょうどオリンピック終了後に実動部隊が新しい工事に着手できるタイミングなのである。2027年にはリニア中央新幹線の開業も予定されていることから、2027~2030年が次のマイルストーンになるだろう。
JR東日本は7月3日に発表した新たな経営ビジョン「変革 2027」の中で、羽田空港に直結する新線「羽田空港アクセス線」の整備方針を示し、早ければ10年後の2028年に開業させたいとした。
この路線が完成すると、上野東京ライン、埼京線、京葉線各方面から羽田空港に直通列車が運行されることになり、乗り換えの解消と15~20分の時間短縮、大幅な輸送力増強が実現する。JR東日本は2002年に東京モノレールを買収して羽田空港アクセスに参入しているが、再国際化と拡張計画をふまえてさらに一歩踏み込んだ格好だ。