いずれの事件にもキーマンとして関与し、受託収賄幇助、贈賄容疑で逮捕されたのが谷口浩司容疑者。医療コンサルタント会社役員や、国民民主党所属の参議院議員・羽田雄一郎事務所の政策顧問など、いくつもの肩書や名刺を使い分けていた人物だ。谷口容疑者が接触・作成した官僚の一覧リストが流出し、一躍、「霞が関ブローカー」として名を上げた。

民間と政治家、官僚とを橋渡して
依頼者が得る利益の1割をもらう

 そもそも、ブローカーとはどのような人種を指すのだろうか、よく分からない読者もいると思うので簡単に説明しておく。

 霞が関は国の政策立案を担い、補助金や助成金に関する権限も一手に握っていることから、民間の企業や団体などから見れば“利権の巣窟”に映る。そのため、霞が関の官僚に食い込みたいと考える人間は跡を絶たない。そうした民間と、政治家や霞が関の官僚との“橋渡し”をするのがブローカーだ。

 佐野前局長が決済に一役買ったであろう「私立大学支援事業の選定」などはその典型だ。選定された大学は、さまざまな経済的支援を受けられるだけでなく、学生募集の際の宣伝にもなる。“大学全入時代”の今、大学は生き残りをかけて必死の工作を仕掛けるわけだ。

 ただ、選定者である文科省の幹部、特に担当課に力を持つ幹部は、国家公務員である以上、利害関係者との接触を控えなくてはならない。そのために国家公務員法もある。そんな時に現れるのが、谷口容疑者のようなブローカーなのだ。

 交渉の現場はこんな感じだ。まずブローカーが、族議員と官僚、そしてお願いする立場の業者が集う場を用意する。まずは宴席を共にしながら大枠の話を決め、議員は途中で退室。その後、細かい詰めの作業、例えば申請書づくりのアドバイスなども含めて、ブローカーが間に入りつつ進めていく。

「成功した場合、ブローカーや議員への報酬は、その企業や業者が見込む純利益の1割が相場です。議員はパーティー券の購入や寄付金などが見込め、官僚は高級接待が特典となるわけです」(古参の議員秘書)