大企業の役員経験者が退職後に「顔役」としてなるもの――顧問には、そうしたイメージが強いだろう。しかし、最近増えているのは、“普通の会社員”だった人がなる「実務型顧問」である。

「顔役」にとどまらない
実務型顧問が増加

普通の会社員がなる「顧問」が増えている営業、マーケティング、新商品開発、海外進出など、“普通の会社員”としての経験を生かして顧問になるケースが増えている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「定年退職後にどんな生活を送るか」――会社員にとって、50歳前後から気になり始めるテーマではないだろうか。

 人生100年時代。定年と同時に完全にリタイアするのは収入面の不安が大きいし、まだ働きたいという気力も体力もある…そんな人に知ってもらいたいのが、「顧問」という働き方だ。

 顧問というと、元は大企業の役員クラスの人が退職後、人脈やネームバリューを生かして務める「顔役」とのイメージが強いだろう。

 しかし、近年、そうした顔役とは一線を画す、「企業の課題解決に当たるエキスパートとしての顧問」が注目されるようになった。キャリアを通じて培ってきた経験や専門性を生かし、現場のメンバーと共に直接的に企業の事業に参画することから、「実務顧問」とも呼ばれている。

 例えば、食品メーカーで新卒から働いてきたAさんは、定年退職後、素材メーカーの新規事業開発部にて実務顧問に就任。2週間に一度出勤し、かつての勤務先で新商品開発に携わった経験を基に、市場調査やマーケティングに対する助言などを行っている。

 また、携帯電話メーカー社員時代、インドネシアに駐在していたBさん。国内で飲食店を直営・フランチャイズ展開してきた企業がインドネシア進出を進める際、実務顧問として招かれ、現地での経験や人脈を生かして販路開拓に直接的に貢献した。

 このように、「真面目に会社員生活を送ってきた」という経験を武器に、実務顧問として働く人が増えているのだ。