冒頭の事件のあった長崎市で「ひきこもり相談窓口」を管轄している地域保健課の担当者は、「相談で年齢を区切ることはない。早く相談してくだされば、違う結果になったのではないか。そういう意味では、相談窓口をもっと周知する必要性を感じた」と話す。

 長崎県でも16年度、引きこもり実態調査をすでに行っていて、40代が最も多く、全体の割合でも40代以上が約5割に上っていたことから、核となる県の保健所の職員が地域をよく知る民生委員と連携して支援を模索していた。

 ただ、そうした親子の情報が地域からもたらされたとき、すかさずアウトリーチして、ずかずかと本人の元に入り込んでいくのは、かえって状態を硬化させていくこともある。周囲は、その家庭に入れるのか入れないのか、入るとしたらどうアプローチすればいいのか、本人の意向や客観的状況に応じて丁寧に対応していかなければいけない。

まず支援が必要なのは
引きこもる本人よりも家族

 県の「ひきこもり支援センター」などの施策を主管している精神保健福祉班の担当者は、こう説明する。

「キーパーソンが誰なのか。介護の問題などがあれば、地域包括支援センターが入っていって、引きこもる子も外部の機関につなぐきっかけづくりができる。引きこもる子にいきなり焦点を当てない入り方ができないか、家庭に入る切り口が他にないか。その家庭に入れるのはどういう人なのか、を見極め、どんな入り方ができるのかが非常に大事なのかなと思います。一歩間違えると……ということもあるが、このまま何も手を差し伸べないのは、もっといけないことだと思っています」

 県の担当者が言うように、まず支援が必要なのは、引きこもる本人へのアプローチではなく、むしろ家族のほうなのである。そうした当事者家族は、どのようなことを行政に望んでいるのか。