Koki,の全面広告に透ける新聞協会「既得権益死守」の邪心既得権益のニオイがプンプンする日本新聞協会の全面広告。起用されたKoki,さんが気の毒である Photo:Akiko Onodera

わずか15歳の新星、Koki,さんを起用した、日本新聞協会の全面広告が波紋を呼んでいる。タイミング的に、新聞の軽減税率という既得権益を守りたいがためのアピールであることは一目瞭然。諸外国のメディアに比べて、肥大化しすぎた所帯をどうにか維持しようと目論む日本の新聞社には、権力を震え上がらせる記事は期待できない。(ノンフィクションライター 窪田順生)

まだ15歳の少女を利用した
新聞協会のエグさ

 まだ15歳の少女に、大人たちはなぜこんな「心ない仕打ち」をするのだろうか。

 木村拓哉さんと工藤静香さんの次女でモデルのKoki,さんが起用された、日本新聞協会の「新聞週間」のキャンペーン広告のことだ。

 ご存じの方も多いと思うが、Koki,さんは去る10月15日、同協会に加盟する全国74紙で展開された全面広告に登場した。彼女のアップと、ひらがな1文字だけの広告は74紙ですべて違っていて、全部並べるとこんなメッセージになる。

「私は、まだ知らない。この国のことや、世界のこと。知ろう、強くなるために。知ろう、一歩踏み出すために。知ろう、自由を守るために。新聞で、未来をひらこう」

 その一方で、SNSでは「コネで未来開いた人がなにを言う?」「ゴリ押しの人にそんなこと言われても、不快感しかない」などと厳しいツッコミが寄せられている。

 これが冒頭で述べた「心ない仕打ち」だと思うかもしれないが、そうではない。では、何かというと、新聞業界がこのキャンペーンを仕掛けた、あまりにエグいタイミングだ。

 実はKoki,さんが「新聞74紙ジャック」をしたこの15日というのは、安倍首相が臨時閣議で、2019年10月に予定される消費税率の10%への引き上げに万全の対策をするよう指示した日だ。

 そう聞くとピンときた方も多いだろう。15日というのは、新聞の「軽減税率」に対する逆風が再び吹き始めた日でもあるのだ。

 例えば、翌16日の、情報番組「スッキリ」(日本テレビ)のオープニングトークで、司会の加藤浩次さんが、新聞の軽減税率について「ちょっと納得いかない」と述べ、話を振られた、コメンテーターである幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏もこんなコメントをされている。

「いや、おかしいですよね。紙の新聞なんて僕らの世代は誰も読まないですし、そんな取ってないですよ。生活に最低限必要な物の中で凄く(新聞は)違和感ありますね」