消費者の関心が「所有」から「利用」へと移行しつつあるなか、急成長をとげているのがサブスクリプション企業だ。音楽・動画配信などで日本でも知られるようになったこのモデルが、なぜ伸びているのか。最新刊『サブスクリプション』(ティエン・ツォ著)の本文から一部抜粋してお送りする。

 現代自動車の新しいハイブリッドカー「アイオニック」に乗りたければ、買わなくても大丈夫。月額275ドルの利用料を払えば乗ることができる。

 携帯電話のプランを選ぶようなものだ。ネットでモデルを選び、2年プランか3年プランかを選び、オプションを選択したら販売店に行き、クルマに乗って出発だ。価格交渉も、ローンも、ディーラーの店長室で聞かされるセールストークもない。

私たちのゴールは、スマホを持つのと同じくらい簡単にクルマを持てるようにすることです」と同社の製品企画担当副社長のマイク・オブライエンは言う。「クルマを買おうと思ったら、資金を調達し、価格交渉を行い、下取りのことを考え、その他いろいろ複雑なステップを踏まなければならない。ミレニアル世代には、これがすごく複雑に感じられるようです」

 私に言わせれば、「すごく複雑」なのではなく、「わざと曲がりくねらせている」ということになる。

ポルシェ、キャデラック、フォード…
増え続けるサブスクリプション

 自動車のサブスクリプションということなら、現代自動車以外にもたくさんの会社がある。

 ポルシェのパスポート(Passport)というサブスクリプションでは、6つの車種から選ぶことができ、メンテナンス、保険、車両税、登録料込みで月額2000ドルから利用できる。キャデラックは現行モデルを月額1800ドルで提供し、年間18回まで車種変更ができる。フォードのキャンバス(Canvas)プログラムのサブスクライバーは、毎月のマイレージプランを選び、未使用のマイルを翌月に持ち越すことができる。スマホのデータプランに似ている。

 ボルボXC40(コンパクトSUV)は月額600ドルで利用できる。それにはコンシェルジュサービスが含まれている。保険、保守、消耗部品の交換、年中無休の24時間カスタマーサポート等、燃料以外はすべて含まれている。

 ボルボのCEOは、2023年までに同社のクルマの5台中1台はサブスクリプションで利用されると予測しており、ユーザーがクルマを貸し借りして収益を得ることができる独自のライドシェアリング・ネットワークの構築にも取り組んでいる。

 ボルボUSAの製品・技術コミュニケーション担当マネジャーであるジム・ニコルズは『コンシューマー・レポート』誌に、「私たちの調査によれば、多くの消費者はネットフリックスやアップルのiPhone(アップグレード)プログラムのような、面倒なことが何もない定額サービスを探しています」と語っている。