アリババPhoto:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 電子商取引大手アリババ集団は、中国のハイテク大手として知られるが、根本的には、中国消費者を相手に製品を販売する中・小企業向けのプラットフォームだ。

 中国の中小企業は、当局によるシャドーバンキング(影の銀行)への取り締まり強化や、それに伴う景気減速で打撃を受けている。そこに米中の貿易摩擦が加わっており、アリババが2019年3月期の売上高見通しを4〜6%引き下げたことに驚きはない。アリババは、注目のハイテク株というよりは、中国経済の先行きを占う上で目安となる先行指標のような存在だ。

 アリババは、出店業者の一部が厳しい状況に直面しているとして、ウェブサイト上での検索数増加などによる漸増型の広告スペースの販売を少なくとも当面、停止すると明らかにした。アリババは出店業者が支払う広告費から収益の大半を得ており、今回の決定は今後成長が鈍ることを指す。

 アリババは売上高見通しの下方修正を決めたのは、ほんのここ数カ月になってからだと説明した。つまり、ここから状況はさらに悪くなることを示唆している。ただ、アリババの成長鈍化の兆しは、ここ数四半期にすでに出ていた。

 アリババの7-9月期(第2四半期)売上高と営業利益は、いずれも市場予想に届かなかった。純利益は市場予想を上回ったものの、背景には投資売却による押し上げがある。総売上高は54%伸びたが、営業利益は前年同期比19%落ち込んだ。まだ収益化できていない他の事業への投資がかさんだことが主因だ。アリババは次の成長の活路を求め、実店舗や食品宅配などの事業に資金を投じている。こうした新規事業を除くと、中核の電子商取引事業は29%の増収だった。なお底堅い数字だが、1年前に記録していた50%超の伸びからは鈍っている。

 アリババは収益の大半を中国国内で稼いでいるものの、米中の通商対立激化はリスクとなる。なぜなら、経済減速による痛みを受けるのは、不均衡なまでに小規模企業に集中するからだ。

 決算発表を受けた2日のアリババ株価は、前日比2.42%安で引けた。夏場につけた高値からは約30%下落している。7-9月期決算は、投資家が早期の回復を期待すべきではないことを物語っている。