実際、図(3)に示したように、2000年代初頭には9割を超えたこともある原子力設備利用率は東電の不正問題の影響もあり04年度から70%台を推移 した後、11年度に37.6%まで急落。代わりに燃料使用量は増大し、燃料油では前期比で3倍以上、LNG(液化天然ガス)も2割増となった。これに原油 価格高騰も相まって、燃料費は前期比2倍の7768億円に上り、営業費用の4分の1を占めるまでに増大した。

 原発停止による燃料費増大というのは、多かれ少なかれ全電力会社が抱える問題だが、関電には収益を圧迫する“特殊要因”がさらにある。それは関電管内の火力発電の「質」の問題だ。

 図(4)を見ていただきたい。関電管内の火力発電所を一覧にしたものだが、運転開始が1980年代以前のものも目立ち、しかもその多くが石油火力だ。発 電コスト(1キロワット当たり)は「石炭が6円、LNGが17円程度、石油が20~22円」(森貴宏・メリルリンチ日本証券アナリスト)となっており、コ ストの高い石油への依存度が高いことは業績悪化に直結する。今夏の電力不足に対応するため、関電は海南火力発電所2号機の運転再開を急いでいるが、これも 石油火力であり、供給力の足しにはなってもコスト面だけで見ると圧迫要因でしかないともいえる。

 現在、各電力会社で主流となっているLNG火力でも、関電の苦境が見える。LNG火力では高効率の「コンバインドサイクル」と呼ばれる発電方式の導入が進んでいるが、関電にはまだ従来の蒸気発電が多く残っている。タービンを回す熱効率で見ると、従来型が40%前後なのに対し、コンバインドサイクルは60%強と20%程度の差がある。関電ではコンバインドサイクルを堺港と姫路第1で導入しているが、追加供給力として期待される姫路第2と和歌山の運転開始は13年からで、需給が逼迫する今夏には間に合わない。

 この結果、関電の12年3月期の1キロワット当たりの発電単価は11.7円と前期から3.5円も高くなった。一方、販売単価は0.5円増の16円で、差は4.3円。「差が5円を切ると、減価償却費や送配電の費用で赤字要因になる」(森アナリスト)ため、大幅赤字は必然ともいえる。