ドル円は2~3月に一時84円台まで上伸し、その後再び80円を割り込んだ。米金融緩和局面のドル円は米中期金利の動向に沿って動く傾向がある。そして米中期金利が上昇するときは、金利の緩慢な動きに比べて、ドル円は急な上下動を繰り返しやすい。2~3月の展開はその典型であり、米金利上昇を受けて円安に弾みがつき、そして短命に終わった。

 今回の円安に際して、日本の経常赤字化への懸念、日本銀行の一線を越えた金融緩和など、日本側の要因が円売り材料として喧伝された。しかしこれらが日本マネーの円安フローを伴う段階にはない。この局面のドル高・円安は主に投機やヘッジなどの短期マネーが米金利上昇に反応して生じる。

 米金融緩和が続く見込みの2012~13年、米中期金利はドル円相場のシグナルであり続けよう。米中期金利は経済成長が巡航ペース2.5%を超えると上向きやすい。米国経済は、08年秋の金融危機による急縮小から果敢な政策対応で持ち直し、その後はバランスシート調整に圧迫されてきた(上のグラフ参照)。しかしFRBの下支え努力のかいあって2~3%成長を確保してきた。