祖国に家族を残して日本で働いている外国人労働者もいるが、家族が現地の医療機関にかかった場合、海外療養費の申請をすれば健康保険から払い戻しが受けられる。ただし、海外で受けた治療の利用実態を日本で把握するのは難しいため、本当は医療機関を利用していないにもかかわらず、書類を偽造して、海外療養費を不正に受け取っていると疑われるケースがあるようだ。

 だが、いずれも不適切利用と決めつけるのは難しいものがある。なぜなら、多くは制度に則って申請されているからだ。

労働者の三親等以内の親族は
扶養家族として健保に加入できる

 皆保険制度をとっている日本では、この国で暮らすすべての人に、なんらかの健康保険に加入することを義務づけている。75歳未満の人の加入先は職業に応じて異なり、会社員は勤務先の健保組合、公務員は共済組合などの職域保険に加入する。職域保険に加入できない自営業やフリーランス、無職の人などには、住所地にある都道府県の国保に加入することを義務づけ、皆保険制度を実現している。

 加入に際して国籍要件はなく、会社員のための健保組合は、労働の実態があれば外国人も加入しなければならない。加入が義務付けられているのは正社員だけではない。パートなどの短時間労働者も年収130万円以上(従業員501人以上の企業は106万円以上)などの要件を満たすと加入義務が発生し、所得に応じた保険料を負担する。

 会社員のための健保組合は、扶養家族の医療保障を行う「被扶養者」の制度もあり、一定の年収要件などを満たせば、その人の収入で生活している扶養家族も保険料の追加負担なしで加入できる。

 健保組合で扶養家族として認められているのは、原則的に同居している三親等以内の親族。ただし、配偶者、子ども、孫、父母、祖父母、曽祖父母、兄姉弟妹は、同居していなくても、仕送りなどをしていて加入者本人と生計維持関係があれば、健康保険の扶養に入ることができる。