ドバイの街並みPhoto:PIXTA

 【ドバイ】アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国は、エコノミストが「ホワイトカラー・リセッション」と名付けた状況に悩まされている。「不況」はこの豪奢を好む都市国家を損ない、他の中東諸国が追随したいと願う経済モデルに試練を与えている。

 ドバイは今年、10年前の世界金融危機以来で最大の雇用喪失を経験した。特に打撃を受けたのは、砂漠の中の辺境の地だったこの国をわずか数十年で光り輝く超高層ビル群と人口300万人を抱える都市に変貌させる原動力となった、高給な仕事を持つ人々だ。この不振の状況は、ドバイ経済の柱である不動産、金融サービス、観光、巨大港湾施設の苦境を反映している。

 ドバイは長らく、ジェット機で飛び回る銀行家、弁護士、起業家などの世界的富豪らにとって、中東で最も住みやすく、ビジネスがやりやすい場所と考えられてきたが、現在の変化は、こうした環境の永続性を脅かしている。

 エコノミストはドバイ退潮の要因を多数指摘している。第1に、ドバイはサウジアラビアのリヤド、カタールのドーハなどとの競争激化に直面している。リヤドでは欧米スタイルの自由が次第に許容されてきている。ドーハでは近隣諸国から国交を断絶されて以来、外国投資家を引き付ける新たな試みがなされている。また、米国の対イラン制裁、サウジと隣国のイラン、カタールなどとの間での緊張の高まりを受けて、こうした重要な貿易パートナーとの取引が難しくなっている。

 中東ビジネスの研究者でドバイに関する著書もあるライス大学ベーカー公共政策研究所の特別研究員、ジム・クレーン氏は「ドバイのビジネスモデルの基礎は寛容と政治的中立だった」と指摘した上で、「残念ながら、今ではこの2つの特徴が不足している」と語った。