「なぜ、あの人はすぐに正解を導けるのか?」「なぜ、あの人は失敗をしないのか?」「なぜ、あの人はやりたいことを実現しているのか?」――とびぬけて頭のいい人は、「迷いのない判断基準」と「瞬時に対応する問題解決能力」を持っています。その2つの能力を普通の人でも使えるスキルとしてまとめたMENSA、ISI、HELLIQに所属する天才のパターン思考 2時間で知能が高まる「思考の技術」から、天才の思考法を紹介していきます。(初出:2018年12月17日)

「知ること」自体に価値はなくなり、「行動すること」に意味がある【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

お金より時間より、
人と出会うチャンスを見逃さない

「人生において大切なものは?」という質問をされたら、みなさんは何と答えるでしょうか。

 多くの人は「お金」と答えるかもしれません。「時間」と答える人もいるでしょう。でも私には、「お金」や「時間」よりも大切なものがあります。

 私は大学生の頃、アルバイトと奨学金だけで生活していました。こう話すと、驚かれたり、「嘘でしょう?」と言われることもあったりするのですが、親からの援助は一切受けていませんでした。というのも、家計からしてとても援助してくれるような状況ではなかったからです。そんな環境に育っているので、お金の大切さは十分理解しています。

 それでもお金より大切なものがある、と言い切るのにはそれなりの理由があります。

 お金にはいろいろな側面がありますが、一言で言うなら、「誰かに何かをしてもらうために支払う対価」です。

 自分ができないことを、お金を払って誰かにやってもらうわけです。自分ができることであれば、自分でやったほうがお金はかかりませんが、時間はかかります。わずかなお金を節約するためにむやみに時間をかけるくらいなら、お金を払って時間を節約し、その時間でやりたいことをやるほうを選ぶでしょう。

 私はお金よりも時間のほうが大切だと考えます。お金は増やせますが、時間は有限だからです。

 そして、その時間よりも私にとってもっと大切なもの。それは「機会」です。

 ここで私がいう「機会」とは、人と会うことや、イベントに参加することなど、自分一人で好きなときにできないことを指します。「人と出会うチャンス」といってもいいかもしれません。それはお金や時間以上に大切なものだと私は確信しています。

「知る」から「行動する」へ

 かつて私は、自分が何者なのかがわからなくて、ずっと悩んでいました。20代のときにJAPAN MENSAの試験を受けたのも、その答えを知りたかったからなのですが、入会後、ほかの会員と交流してみて、単にIQだけでは自分の特殊性を説明できないことに気づきました。そんなときに知ったのが、「ギフティッド」という概念です。

 米国ではIQが高い子どもたちや、ある特定の学術分野で高いレベルの潜在能力を持った子どもたちをギフティッド・チルドレンと呼んでいます。この概念がかつての自分に当てはまるのではないかと思い、日本ギフティッド協会に連絡を取ったところ、ミーティングに参加させていただける機会に恵まれました。

 そこで自分が持っていた疑問を一つひとつ尋ねることで、「自分はいったい何者なのか」という「内なる問いかけ」に対する答えにだいぶ近づくことができました。

 この一期一会の出会いがなければ、今の自分はおそらくいないでしょう。自分の持っている能力を最大限に発揮するには、まず自分自身について知らなくてはいけません。

 今の時代、インターネットで興味のあるワードを検索しさえすれば、あらゆる情報が出てきます。そういう意味では、「知っている」こと自体の価値は薄れ、次のステップである「行動すること」、すなわち機会を活かすことの重要性が相対的に高まっているといえるでしょう。

 興味があることについて知識を得たら、次は機会を探し、活かすことです。

 興味があるということは、何かしら自分と関係があるはずです。その部分を深く知ることは自分を知ることにほかならず、ひいては自分の未来につながります。

「機会」は、未来への招待状なのです。

まとめ

凡人→お金は貯めるもの、時間は過ぎるもの、機会は「またの機会に」
天才→お金は時間を買うもの、時間は機会を活かすもの
メリット→機会を探し、活かすことで、進むべき未来へ向かっていける