オナラは、いわずもがな誰にでも起こり得る生理現象だ。そして、その臭いや肛門から気体が出るという間抜けさも相まって、「人前ですると恥ずかしいもの」とされている。これは、おそらく古代からそうだったのではないか。オナラは、どのような状況でなされても間抜けなものだ。毅然とした、品のいいオナラなんて聞いたことがない。

 にもかかわらず、オナラをした後、された後の礼儀作法について学んだ記憶はない。古代ギリシャはどうだったのだろうか。中世ヨーロッパはどうだったのだろうか。寡聞にして知らないが、おそらく明確な礼儀作法は確立していなかったのだろうと思う。

 これは人類の怠慢なのではないか。

公共の場でオナラを自己申告すること

 駅構内のトイレでの出来事が、仮に立場が逆だったらどうだっただろうか。放屁をした筆者は、急いで小便を止めてチャックを閉め、かぶっていたキャップを脱いで、深々と頭を下げながら「大変失礼いたしました」と、目上の男性に対して謝罪するべきだっただろうか。そんなことをしても、おそらく男性は戸惑うだけだったに違いない。

 これは、公共の場であれば、どこでも同じであろう。満員電車でオナラをした人がいたとして、周囲は不快な気持ちになるかもしれないが、わざわざ「おい! いまオナラをした奴は誰だ!!」と問いただしたり、「すみません。わたくしです!」と自己申告したりする人は、まずいない(それがたとえ、すかしっ屁であっても)。というか、そんな事態になるほうが迷惑である。スルーして切り抜けたいと思う人が多数なのではないか。

 こんなこともあった。ある時、近所を散歩していたら、前を歩いていた男性がオナラをしたのである。それも盛大に。しかし、男性はイヤホンで音楽を聴いていて、その音の大きさに気づいていなかった。そこで筆者が男性を呼び止め、「すみません。いまかなり大きな音のオナラをしましたよ」と教えるのは、どう考えても逆に失礼である。