本来の目的「地方創生」に
資する返礼品戦略とは

 返礼品の大多数は、地元の名産品だ。ダイソンやiPadは論外だが、地元の名産品が返礼品なら、たとえ100%を超える還元率でも、地元の役に立つと考える人が多い。実際、高い還元率の返礼品を出している自治体も、そうした理屈だ。しかし、それは間違いだ。そもそも返礼品として人気が出る名産品は、すでにブランドになっている。たとえば牛肉は人気の返礼品だが、日本にはブランド牛が約150もあるといわれる。すると、返礼品で牛肉がほしいと考える人はどうするか。神戸牛や松阪牛、米沢牛や宮崎牛、佐賀牛など、すでに知られたブランド牛から返礼品を探すはずだ。わざわざ、誰も知らないマイナーな牛肉返礼品を探すのは、よほどコアな牛肉マニアくらいなものだ。その他の人気返礼品も、蟹、うなぎ、フルーツ、ブランド米など、返礼品でなくても売れそうな商品がずらりと並ぶ。

 こうしたすでに売れている商品を返礼品にしても売り上げが多少は伸びるだろうが、地方創生にはたいした効果はない。ふるさと納税の本来の目的は「地方創生」なのだから、お金を集めるために人気商品を返礼品にすることを否定はしないが、それと並行して、新しいブランドづくり、人気商品づくりに挑むべきだ。そうでなければ地方創生には結びつかない。

 そんなことが可能ならとっくにやっているという地方行政の声も聞こえてきそうだが、そうではない。マーケティング屋の視点から言えば、まだまだ商品開発の努力が足りてないし、できることはまだまだたくさんある。

 第一に、世の中に知られていない名産品は各地方にまだまだたくさんある。たとえば淡路島の玉ねぎは、僕も初めて食べた時は衝撃的な美味さだったが、神戸では有名でも全国的にはまったく知られていない。あるいは、宮城県の十三浜あたりのワカメは肉厚でしゃぶしゃぶにして食べると健康的かつ非常に美味だが、世間ではほとんど知られていないし、ふるさと納税の返礼品にもなっていないようだ。こうした潜在的な商品力のある特産品を、返礼品としてプロモーションする。すでに売れている名産品よりも、まだ売れてない商品をプロモートするほうが、よほど大きな地方創生効果が生まれるはずだ。