このこと自体は、投資家にとって非常に大きなプラスであった。

 一方、株式の売買手数料に収益を頼っていた証券会社の多くは、稼ぎの手段を投資信託、外国債券、デリバティブを使った仕組み商品などに多様化せざるを得なくなった。

 かつての証券マンは、投資家にもっぱら個別の株式を勧めていたが、近年は個別の株式よりも投資信託などを語るセールスマンが多いし、個別株式についてはコード番号(上場銘柄に与えられる4桁の番号)もろくに知らない者が少なくない。株式売買の手数料自由化は、証券会社と個人投資家の関係を大きく変えた。

(3)窓販解禁

 日本版ビッグバンのもう1つの大きな変化は、銀行が投資信託や生命保険などを売ることができるようになったことだ。いわゆる「銀行窓販」(「窓販」は窓口での販売の意味)の解禁だ。

 銀行は、顧客とのトラブルを警戒しておそるおそる投信を販売し始めたが、その後1990年代に登場した毎月分配型投資信託の販売などを通じて徐々に投信販売に慣れてきて、今や、証券会社の客と銀行の客で投信の平均保有期間がたいして変わらないくらい、顧客に積極的な投信営業をするようになった。

 窓販解禁は、個人にとって投資ができるチャネルが増えたという点はプラスに評価できるが、現実に銀行窓口で売られている投信や保険はその過大な手数料だけでも「劣悪」といえる商品ばかりであり、総合的に個人の資産運用にとってプラスだったのかどうかについては「微妙」と言わざるを得ない。

 平成の次の時代には、もう少し顧客本位でマシなものに変わってほしい。