正しい投資の普及に
熱心な金融庁
先般、金融庁から「平成27事務年度版 金融レポート」が発表された。森信親氏が長官に就任して以来、金融庁が従来のやや金融業界寄りの立ち位置を、顧客寄りに修正したこともあり、なかなか面白いレポートになっている。
同レポートの最大の読み所は、現在の日銀の金融政策による低金利の銀行経営・金融システムへの影響や、いわば従来の金融行政のやり残しである地方銀行の経営に関する見解などにあるのだが、今回は、「個人投資家から見て」金融レポートのどこを読み、どう生かしたらいいのかをご紹介しよう。
森長官が掲げる「フィデューシャリー・デューティー」(概念はいいが、馴染みにくい外来語なので、キャッチフレーズとしてはイケていないと思う)の旗印の下、金融機関の悪行や、ダメな運用商品が、顧客である投資家の立場から分析されているので、投資家は是非このレポートをダウンロードして、該当箇所を読んでおきたい。
該当箇所は、「II.金融行政の重点施策に関する進捗・評価 2.活力ある資本市場と安定的な資産形成の実現、市場の公正性・透明性の確保 (1)国民の安定的な資産形成の促進:『貯蓄から資産形成へ』」(44ページから70ページ)である。項目の立て方からして、「安定的な資産形成」が実現しておらず、市場の「公正性・透明性」に問題があると、金融庁が認識していることが伝わってくる。
レポートで槍玉に上がる
ダメ商品、ワースト3
さすがの金融庁も、現在の法令の下で合法的に売られている商品を、「ダメだから買わない方がいい」と直接言っている訳ではない。しかし、金融レポートの記述をよく読むと、金融庁が、この商品は投資家のためになっていないと考えていることが「滲み出てくる」ようにレポートは書かれている(と、筆者は読んだ)。
以下、筆者の解釈であることをお断りしておくが、金融庁がレポートでダメな商品であることが分かるように例示しているのは、(1)毎月分配型投資信託、(2)個人年金保険(特に外貨建てのもの)などの貯蓄性保険商品、(3)ラップ運用(特にファンドラップ)、の3つだ。いずれも、売れ筋の商品・サービスであるが、これらが「ダメ!」であることについては、筆者も全面的に賛成する。