金正恩朝鮮労働党委員長Photo:Reuters

 【北京】米朝の非核化協議が停滞する中、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は8日、長年の後ろ盾である中国を訪問した。今回の訪中は、習近平国家主席の招待を受けたもので、中朝関係の親密さを改めて印象づけた。

 米中が北京で通商問題を巡り次官級協議を開催する中、習・正恩両氏の会談は、中朝間の「利益の一致」を示す。こう指摘するのは、ロンドン大学東洋アフリカ研究所(SOAS)中国研究所のスティーブ・ツァング所長だ。北朝鮮が長距離核ミサイルの発射実験を行っていた2017年には、米国と同盟国は、問題解決に向けて中国に支援を要請している。

 中国は米国との通商摩擦を解消する上で、北朝鮮を交渉の材料に使うことができる。北朝鮮にとっては、2度目の米朝首脳会談を実現する上で、中国の支援が必要だ。

 ツァング氏は「北朝鮮問題で中国が非常に役立つ存在であると米国に改めて認識させることは、中国の利益にかなう」と指摘する。「これは中国、北朝鮮両国からの米国へのメッセージだ」

 今年は中朝国交樹立70周年に当たる。正恩氏が北京入りした8日は、同氏の誕生日でもあった。中朝メディアによると、正恩氏は10日まで中国に滞在する予定。

 中国外務省の陸慷報道官は8日の定例会見で、正恩氏の訪中は両国の対話強化が目的と説明。また中国は米朝間の対話も促しているとした。米国との通商協議と関係があるとの見方は否定した。

 正恩氏にとっては、米国との非核化協議の方針を巡り、習氏の支援を得るとともに、制裁圧力の緩和を中国側に要請することが訪中の目的だとみられている。