『週刊ダイヤモンド』1月19日号の第1特集は、「経済記者がガチで教える 家計リストラの新常識」です。多くの家庭が家計をやりくりして“夢”のマイホームやマイカーを手に入れてきました。平成が終わる今、消費スタイルは「所有」から「利用」へと転換を始めています。そこで、いつの時代も頭を悩ませる永遠の課題、「家は買うか、借りるか」を考えてみたいと思います。(本記事は特集からの抜粋です)
米国西海岸のストリートカジュアルブランドを着こなす27歳の西優史さん(仮名)は、トレンドの情報発信地である東京都港区青山の賃貸マンションに暮らす。編集部の新米記者である私と同い年である彼の家賃はなんと22万円! わが家の倍である。
「払えないから安い所を探そうって考えるのはサムいでしょ」と西さん。「家賃のために頑張って稼ごうってモチベーションにつなげている。あ、貯金はないよ」。
家賃にそんなにカネを掛けるなんて計画性がなさ過ぎると正直引いてしまったが、以前は都心から離れた北区王子や、渋谷駅から電車で5分の世田谷区三軒茶屋に家賃約10万円で暮らしていたという。
引っ越して住む街が変わると、住人同士であいさつを交わすのが当たり前になったり、家族連れが増えたりして、自分も礼儀正しくなっていくことに西さんは気が付いた。そこから富裕層の習慣やゆとりのある態度を見て学べる環境を買うつもりで家賃に“自己投資”するようになった。同じころ、背伸びして高級ブランド品を身に着けるスタイルは卒業した。
今、都心の白金高輪や芝、品川辺りで無理してマンションを買えば、住宅ローンは約7200万円(フラット35の35年ローンで試算)。月々の返済額は西さんの家賃22万円にそのまま当てはまる。
彼の住宅観は家計の住居費バランスを欠くが、重いローンは背負わない。不動産業界で働いていながら、「拠点を持たずに身軽でいたいから」と購入には興味がない。うん、そこは共感できる。