英議会が欧州連合(EU)離脱案を大差で否決し、他のEU加盟国は目を背けたくなる問いに直面している。英国との離脱交渉でEUは行き過ぎた成功を収めてしまったのか、という疑問だ。昨年終盤、残るEU加盟27カ国とEU当局者は祝賀ムードに包まれていた。英国との合意案で、EU側のほぼすべての交渉目標を達成したためだ。巨額の離脱費用、英国内のEU市民の権利保護、アイルランドとの国境復活を回避する安全策、EU加盟国と同等に摩擦のない貿易条件は求めないとの確約。EUはこれらすべてを英国にのませた。もっとも英議員にとっては全く受け入れ難い内容で、 432対202の大差での否決につながった。欧州の当局者はすでに、テリーザ・メイ英首相が要請した場合の交渉期限の延長について検討に入った。ペーター・アルトマイヤー独経済相は16日、期限延長は「妥当な要請」と述べたが、一部当局者はEU側が条件をつける可能性を示唆している。