そして、国税当局も検察庁も「全面降伏したのだから証拠隠滅も逃亡の恐れもない」という判断で、在宅のまま告発・起訴という流れに落ち着くのだ。

 東京地検は三崎容疑者の認否を明らかにしていないが、関係者によると、任意聴取に「正当な業務だった」と容疑を否認していたが、逮捕後は「税金を払いたくなかった」などと認める供述に変わったという。

 地検が逮捕した以上、起訴はほぼ間違いない。今回のようなケースは刑事手続き上は形式的なものになり、起訴の直後に国税局が告発という逆のパターンになる。

申告漏れ、所得隠し、脱税の違い

 ところで「脱税」とは、どんな行為かお分かりだろうか。「そんなもん、税金をごまかしたに決まっているだろう」と思われるに違いない。平たく言うとその通りで、一般的な言葉としても「納税義務を要する者が、その義務を怠り、一部または全部を免れること」を指す。筆者も全国紙の社会部記者時代、そういう認識で深く考えたことはなかった。

 では、新聞やテレビが報道する場合はどうか。筆者は社会部で事件担当デスクに指名され、国税庁担当の経験がある先輩デスクに1日かけてみっちり指導してもらった。その時のメモを元に簡単に説明してみたい(※細かく解説するときりがないので、一般的な所得税と法人税に限定します)。

 まず、新聞やテレビの税金に関する記事では「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」の用語が使われるが、違いを厳密に理解している読者はほぼ皆無だろう。社会部の記者でもおそらく、ごく少数ではないだろうか。

 申告漏れは「経理ミス」の類で、それほど悪質性はなく、ペナルティー(過少申告加算税)も軽い。だから報道されるのは芸能人や政治家など著名人のほか、税法上で特異なケース、巨額だった場合などに限定される。芸能人などはそれこそ“有名税”で、特異なケースで名前が出た会社は「とばっちり」でしかない。

 またトヨタなど超巨大企業も数十億円規模の申告漏れがニュースになるが、法人所得に比較すると誤差の範囲だ。