ワシントンにあるFRB本部Photo:Reuters

 【チューリヒ】欧米の主要中銀が急きょ、金融政策をハト派路線へと転換した影響が世界に広がっている。その結果、より規模の小さい国では、経済がおおむね健全であるにもかかわらず、政策金利は今後何年にもわたり低水準、もしくはマイナスに張り付いたままとなる恐れがある。

 こうした金融緩和政策は、不安定な資産バブルの温床となる可能性があるほか、次回のリセッション(景気後退)時に、中銀の対応余地を狭めることにもなりかねない。

 スイス国立銀行(中央銀行)は今後数年にわたりマイナス金利政策を維持する方針を示している。スイスは米国やユーロ圏主要国に比べれば規模は小さいが、世界の大手銀行や企業が本社を置いており、これらの企業は為替相場や金融環境に敏感だ。金融市場は相互依存を強めており、規模の小さい国の問題が規模がより大きい国へと一瞬にして飛び火する危険がある。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は20日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25〜2.5%に据え置くとともに、年内の利上げ見送りを示唆した。昨年12月時点では、今年1〜3回の利上げを見込んでいた。

 その2週間前には、欧州中央銀行(ECB)がさらに踏み込んだ措置を講じた。銀行への低利融資を通じた新たな刺激策を発表。少なくとも年内いっぱいは主要金利である預金金利をマイナス0.4%に据え置くとし、当初の想定より長くマイナス金利を維持する考えを示した。

 スイス中銀は21日、主要政策金利である預金金利をマイナス0.75%に据え置いた。金利水準は2015年1月から変わらず。またインフレ見通しを今年は0.3%に、来年は0.6%にいずれも引き下げた。スイス中銀は海外の成長と物価が弱含んでいるとしたほか、「主要通貨国の政策金利見通しが引き下げられた結果」と説明した。