タッチパネル付きのテスラ車Photo:iStock/gettyimages

 自動車メーカーが多くのテクノロジーを新型車に取り入れる中、クルマはほとんど「タイヤの着いたコンピューター」と化している。次なる課題は、遠隔でのソフトウエア更新だ。そうすれば、保有者は更新のためにディーラーに足を運ばずに済む。

 遠隔でソフトウエアを更新できるクルマという構想は、電気自動車(EV)メーカーの米テスラが生み出したものだ。スマートフォンのソフトウエアを更新するのと同じような方法で、クルマも不具合を改善したり、新たな機能を加えたりできることをテスラは証明した。

 ここにきて、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、トヨタ自動車など大手メーカーもテスラに追いつこうとしている。ネット経由で不具合を改善できれば、品質保証や修繕に伴う巨額のコストを削減できるからだ。だが、これまでのところ、ワイヤレスでの更新能力は、カーナビの地図更新など、おおむねシンプルな変更に限られている。ステアリングの不具合といった一段と複雑なものは、まだディーラーに出向く必要がある。

 自動車部品メーカー、アプティブのグレン・ディボス最高技術責任者(CTO)は「自動車業界はこれまで、(ワイヤレス更新について)シリコンバレーがやるものだと考えていた」と指摘。「今では、その価値に気付いたようだ」と話す。

 GMは全面的にワイヤレス更新が可能な新型車を年内に初めて投入し、向こう数年でブランド全般に拡大する方針を示している。フォードは来年発売予定の電動スポーツ用多目的車(SUV)でワイヤレス更新に対応する見通しだ。

 調査会社IHSマークイットは、全面的にワイヤレス更新が可能なクルマの世界販売台数が、昨年の50万台弱から2025年には3500万台に増えると予想している。

 主要機能を遠隔で更新するという作業は、自動車業界にとっては抜本的な転換でもあり、メーカーが広く提供できるようになるには何年もかかりそうだ。メーカーは目下、ブレーキやトランスミッションなど、機械的な機能を管理するバラバラのソフトウエアシステムを一元管理するため、電気関連の中心部に調整を加えることで、徐々に取り組みに着手している。ナビガント・リサーチのアナリスト、サム・アブルサミド氏はこう指摘する。