米配車サービス大手リフトは長らく負け犬とみなされてきた。勝者総取りの世界と考えられていた配車業界でウーバー・テクノロジーズとの激烈な闘争にさらされ、勝ち目がないと思われていたのだ。だがリフトは今や米金融界の脚光を浴び、およそ240億ドル(約2兆6600億円)の評価額を誇る企業となっている。配車サービスが移動に欠かせない手段に育ったここ10年、リフトはほぼ一貫してウーバー・テクノロジーズの後塵(こうじん)を拝してきた。ウーバーは資本市場を独占し、競合が資金を調達するのを難しくするため、矢継ぎ早に強気の戦術を繰り出した。ウーバー内部では、共同創業者で前最高経営責任者(CEO)のトラビス・カラニック氏や当時のビジネス担当責任者、エミル・マイケル氏ら経営陣が、いかなる競合他社をもしのぐ資金調達を行うと明言していた。