しかし、文政権では日韓間の摩擦を引き起こす行動を取り続けている。4月11日は上海臨時政府発足100周年記念に当たる日でもある。韓国では、文政権主導でこの日を大々的に祝う動きも見られ、反日感情の高まりで、さらに日韓関係に否定的な影響を及ぼす可能性が指摘されていた。

 日韓関係の悪化に憂慮する米国政府が、米韓首脳会談を4月11日に合わせ、韓国政府のこのような企てを阻止しようと考えても不思議ではない。トランプ大統領以前の米国は、日韓関係が悪くなると、北朝鮮に対抗する日米韓の協調体制を損なわないよう関係の改善を求めてきたものである。4月11日に米韓首脳会談をセットしたことで、日韓関係の悪化を防ぐ意図があったとは米国は認めないであろうが、米国がそれくらいの知恵を働かせたとしても不思議ではない。

韓国が北朝鮮寄りの姿勢を続ければ
韓国が孤立していくだけ

 文大統領にとって今回の訪米は、従来の米朝仲介だけではなく、日本に対する歴史見直しや積弊清算の政策をこれ以上取り続けることは、米国の意図するところではないとの姿勢を鮮明にした。

 しかし、問題は文大統領が米国のこうしたメッセージに気付くかどうかである。

 文大統領はこれまで、世界の地政学的評価とは無関係に、自己の考えを押し通してきた。しかし、いつまでもこうした政策を貫けば、国際社会でもひいては国内でも孤立していく以外ないとの現実から逃れることは出来ない。

(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)