令和の時代に入ると、なぜ国際紛争が増加していくのでしょうか。それは、これまで続いてきたグローバル成長が、今、世界中で止まりかけているからです。平成の30年間は、中国経済などの新興国の発展が世界全体を潤していたようなものでした。ところが、グローバル経済の成長が止まると、状況は一変します。各国が競って、他国から何かを奪い取ろうと考え出す時代がやってきます。

長く理不尽な外交戦争は続く
過去との違いは「軍事力行使」の有無

 これとよく似た外交戦争が起きたのが、1930年代でした。世界的な大恐慌が起こり、経済が回復しないなかで、特に欧州では各国が他国からの分捕りで自国の経済を少しでも維持しようという状況が起きました。中でもドイツでは、第一次世界大戦の賠償負担からより国家経済が疲弊し、それに反対するナチスの台頭をもたらしました。

 そしてドイツはオーストリアを併合し、ポーランドは分割されていくという、まさに軍事力によって他国の富を奪い合う世界大戦へと突入していきます。この転換点となった1930年代は、当時の日本の首相、平沼騏一郎をして「欧州情勢は複雑怪奇」と言わしめるほど複雑な外交交渉が、列強の間で繰り広げられました。

 1930年代とこれから始まる2020年代、つまり令和の時代の大きな違いは、軍事力の使用が双方に大きな被害をもたらすことから抑止されるであろうという一点だけになるでしょう。そして戦争が行われないぶん、他の国に対して外交交渉での要求を通じ冨を奪い合う経済戦争や経済摩擦は、より熾烈でかつ前例のないものになっていくでしょう。

 フェローテックの韓国からの早期撤退という経営判断は、ミクロ経済の一企業判断としてはとても素早いものでした。一方で、国全体で見れば、これから先は長く広範囲でかつ理不尽な言いがかりによる経済紛争・政治摩擦問題が、今以上に拡大していくでしょう。

 これは個別的な事象ではなく、時代の新しい局面なのです。そのような時代に日本という国がどう備えていくか、外交戦略がこれまでになく重要となる新しい時代がやってくるのです。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)