産油業界の二大勢力が主導権争いをしている。一方は急成長する米国のシェールオイル生産者、もう一方は石油輸出国機構(OPEC)だ。投資家はどちらの支配力が強まるかを見極めようとしている。原油価格は年初来高値に近い水準にある。減産という手段を行使したOPECが今は優位に立つ印象があるかもしれない。だが米シェールオイル生産者は5年前に比べて生産量を倍増させており、今年さらに供給を拡大すれば、市場で再び原油がだぶつく状況になりかねない。HSBCの石油ガス調査部門責任者、ゴードン・グレー氏はOPECと米生産業者のこうした攻防を「タグ・オブ・ウォー(綱引き)」と呼ぶ。OPECの狙いは、在庫積み増しを防ぎ、価格をより高水準に保つことによって、産油国の政府予算のバランスを図ることだ。OPECとその同盟国(ロシアを含む)は1月から合計日量120万バレルを減産することで合意。期間を6カ月とした。これを受け、原油価格は今年に入って約30%上昇し、1バレル70ドルを突破した。OPECが6月の次回会合で減産期間を延長するかどうかは不透明だ。