経済制裁が続いて
追い詰められる北朝鮮

 北は今、中国とロシアからの支援で、なんとか存在している。しかし、それは中ロも同意した安保理の「制裁違反」なので、中ロとて大っぴらに、あるいは大々的に支援することができない。

 だが、もし米国が段階的非核化に同意すればどうなるだろう。北は、パフォーマンス程度に非核化を行い、制裁は一部解除される。しかし、「一部」とはいうが、もはや制御するのは難しくなるだろう。結果、中国とロシアは大っぴらに経済支援を始めるはずだ。

 すると、どうなるか?金は「核兵器保有」と「経済発展」の両方を実現した男として、北の英雄になるだろう。一方、当たり前だが、カネが入ってくるので「完全非核化」する必要はなくなってしまう。したがって、日米は煮え湯を飲まされることになる。

 ところが、現実は彼の思惑通りに進んでいない。米国も過去の失敗から学習し、シンガポールでもベトナムでもだまされなかった。結果、金は非常に厳しい状況に置かれている。

 4月25日には、金はプーチンと会談した。表向きは何の合意もなかったが、実際にはロシアが水面下で何らかの支援の約束をした可能性もある。北朝鮮は、国連安保理の制裁で、経済的に非常に苦しいからだ。しかし、既述のように、中ロも、大々的には支援できない。

 では、北は、核実験、そして大陸間弾道ミサイル実験を再開できるのか?それは難しいだろう。米国に攻撃の口実を与えてしまうからだ。トランプは「米国は、対話、交渉を望んだが、北朝鮮は対立を選択したようだ」などと言い、戦争が始まるかもしれない。そして、米国の主張は事実なので、国際社会は(中ロ以外)北朝鮮に味方しないだろう。

 ちなみに北朝鮮は5月4日、「短距離弾道ミサイル」を発射した。これについてポンペオ国務長官は、「北朝鮮の東部沖に落下し、日米韓に脅威を及ぼすことはなかった」とし、「対話継続」の意志を示した。

 たとえ戦争は回避できても、「制裁強化」は不可避で、景気はますます悪化する。結果、金正恩は「どこにも進めない状況」に追い詰められている。