「消費税率引き上げ法案」は
骨抜きのまま予定通り採決へ
社会保障と税の一体改革法案とは言うものの、社会保障改革の大半を先送りないし骨抜きにした、実質的な「消費税率引き上げ法案」の採決が迫ってきた。
ここまでの流れは、全く予想通りであり、政局勘の悪い谷垣自民党総裁は解散を賛成の条件としてゴリ押しせずに、いかにも彼らしく、勝負所を逃した。また、「小沢一郎氏を中心とする」と報じられることの多い与党内の消費税率引き上げ反対派も、反対の声を有効に発することができない中で「予定通りに」負けようとしているように見える。
加えて、もともと根性はないが(失礼!)、社会保障に多少はこだわりがあったはずの民主党内の中間派も、年金の検討プロセスが今後にあることで、最低限顔が立ったと考えることにしたものか、反対には回らないようだ。
この間、官僚たちは立場の強い自民党に働きかけて、景気配慮条項の緩和や、歳入庁設立の大幅先送りなど、自分たちに不都合に作用しかねない内容を法案から取り除くように振り付ける、きめの細かさを見せた。
現行の年金制度を維持してどう運営できるつもりなのか、欧州問題の解決が見えない中で不況下の増税でも強行する仕組みがいいと思っているのか、年金保険料の徴収などにある非効率を温存することが嬉しいのか、何が楽しいのかサッパリわからないが、民主党の案を後退させることに力を入れる形で、自民党は官僚集団の利益のためにいいように利用された。
政治の上で、今後の焦点は、「造反議員」が何人出て、これがどう「処分」されるかということになりそうだ。