米中の貿易摩擦の激化が人民元に打撃を与えている。人民元を通商政策の武器に使おうとする中国の目論見に対する疑問も再燃している。オフショア市場の人民元は今週、米国との関係悪化を背景に1ドル=6.9元を割り込み、昨年12月下旬の水準まで下落した。14日時点では1ドル=6.89元近辺で取引されている。人民元の急落で中国政府は難しい立場に置かれている。中国製品は米国市場で割安になり、米政府による関税引き上げの影響をある程度相殺することになる。一方で、中国政府は人民元下落に対する懸念が資本流出やさらなる通貨安を招く事態を回避したい考えだ。そうした動きが生じる分岐点は1ドル=7元とみられている。ドイツ銀行アナリストの試算によると、米国が中国製品2000億ドル相当への関税を25%に引き上げた措置の効果を打ち消すには、人民元は1ドル=7元よりも若干安い水準まで下落する必要がある。ただ、ドナルド・トランプ米大統領はさらに3250億ドル相当の品目にも関税を課す意向を明らかにしている。
米国の関税、人民元に打撃 中国は資本流出を懸念
有料会員限定
あなたにおすすめ