社員ライター中心で
取材の中立性にも配慮

 学生募集にも携わった経験を持つ矢野さんは、学校関係の情報量の少なさを問題視するようになる。

「ここ数年、学校を紹介する専門サイトがいくつか登場しましたが、満足できるものは見つかりませんでした。まず、掲載されている学校数が少ない。大手のサイトでも全体の1〜2割程度の学校しか掲載されていません。各校の情報量も少ない上に、学校ごとに項目を比較する機能がなく、横断的な閲覧ができません。これでは生徒が情報不足のまま、志望校を選んでしまうのも当然です。また、そういうサイトに掲載されている情報(口コミ)は、誰がどんな立ち位置で投稿したのかが不明瞭で信用性に欠けるのも問題です」

近日中に導入予定の機能では、マイページで選択した各校の同じ項目を比較検討できる(画像はサンプル)

 こういった問題を払拭しようと、中学図鑑ではライターの立ち位置を明確にしている。

「取材は当社の社員が行っています。インターンや卒業生に依頼することもありますが、その際は、あえて“辛辣な質問”も盛り込むようにしています。例えば、いじめがあった場合、学校はどう対処しているのか、実際に3年間に必要な費用はいくらなのか、通学ルートは本当に安全なのか、トイレはきれいなのか、寄付金はどうなっているのかなど、本当に知りたいことを掲載しています。良いことだけでは生徒や保護者からは信頼してもらえません」

 ユーザーは、マイページを設定することができる。現在進行中のサイトリニューアルにより、気になる学校の情報を比較検討できる機能も備わる予定だ。すべての学校に同じ質問をしているため、横断的な閲覧が可能である。

「学校選びは人生を左右する重要な行為です。ネットがなかった時代は、塾の先生や保護者同士の口コミで選ぶしかありませんでした。しかし今は、ネットによって学校への評価も、ネガティブな情報も知ることができる時代です。細かい情報を比較検討することで、入学後のミスマッチを減らせますし、より自分に合った学校を選ぶことができると考えています」

 この中学図鑑、現在掲載されているのは首都圏のみだが、今後は関西、中部へと拡大し、近い将来には全国展開の予定だ。また、今夏には高校や大学を対象にした「高校図鑑」「大学図鑑」もリリース予定である。

 現在、小中高の順番で学校指導要領の改訂が進んでいる。来年度には大学入試も新しい制度に変わる。教育を取り巻く制度が大きく変わっていく今、学校自体も様変わりしている。最新情報をキャッチして、主体的に学校を選んでいくことが、これからの時代、必要になってくるのではないだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))