最近何週間かで、多くのコメンテーターが、ドナルド・トランプ米大統領をめぐる「世論調査のパラドックス」とでも呼べそうな状況に言及している。具体的には、大統領が経済政策で国民の高い評価を得ながら、全体としては低い評価を下されているという状況だ。こうした乖離(かいり)は、一般的ではない。大統領は通常、経済が好調な時には高い評価を得るものであり(ビル・クリントン大統領の2期目を思い起こすといい)、経済が不振の時には低い評価を下されるものだ(ジョージ・W・ブッシュ大統領の2期目を思い起こすといい)。しかし、この点に関しても、他のすべての点でそうみえるように、トランプ氏は異例の存在と言える。理由は多種多様であり、単純だ。彼はほとんどすべてのことについて、うそをつく。法に従わない。憲法に違反する。同盟諸国を軽視する。移民の恐怖をあおる。自らの陣営以外のすべての米国民を侮辱する。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長などの残忍な独裁者たちと、不適切と思えるような親密な関係を続ける。信じがたいほど多くの詐欺師、ペテン師らを高官に据える。このような例はいくらでも挙げることができる。