採用マーケットは
「文系」仕様でできている

 AIやロボット技術が注目される昨今、専門的なスキルを持つエンジニアは引く手あまたに思える。技術職や研究職、開発職といった高度専門職に特化した人材コンサルティングサービスを展開するアスタミューゼ執行役員の嶋崎真太郎氏(崎の文字は正式には“たつさき”)は、高度専門人材の獲得競争の現状について次のように語る。

高度専門人材市場の現状について語る嶋﨑真太郎氏高度専門人材市場の現状について語る嶋崎真太郎氏 Photo by Yohei Kurihara

「企業はイノベーションを起こしてくれることを期待し、研究・開発職の優秀な人材を積極的に探しています。当社が2016年に実施した調査では、例えばエレクトロニクス業界の求人倍率は12.79倍。同年の全国有効求人倍率が1.36倍であることを考えると、非常に高い水準であることが分かります。従来は転職といえば業界内で行われることがほとんどでしたが、幅広い応用がきく技術を有するエンジニアの場合は、他業界とも人材の奪い合いになっている状況です」

 にもかかわらず、高度専門人材の転職がスムーズに進まない理由はどこにあるのか。

「そもそも現状の採用マーケットは、理系の高度専門職ではなく、営業や事務といった文系の総合職人材を大量に獲得するために設計されています。その点を意識して採用方法を変えている企業は少なく、専門職の募集であっても総合職と同様に、職種の経験年数や年齢、年収といった画一的な条件によるマッチング手法をとっていることが少なくありません。一方の求職者側も、“専門性を生かしてやりたいこと”をキーに転職先を検索することができないため、文系人材と同じ条件で就活・転職活動をするか、もしくはいまだに大学や研究室からの紹介という採用形式に頼らざるを得ない状況。本当に重視している項目以外でマッチングが行われてきた結果、最終的に転職に結びつかず、高度専門人材の停滞やミスマッチが起きてしまっているのです」(嶋崎氏)