“ポンコツ”タレントが
増えてきた理由

 昔は圧倒的なスター性が求められていた芸能界。テレビに映る多くのアイドルや芸能人には、「隙」というものはほとんど見えなかった。

「1950年代生まれの僕らの世代では、ラジオ・テレビに出る人、つまり電波に乗る人は、誰もが“特別な人”であり“特殊な人”でした。それが時代と共に『素人参加番組』が増えていきハードルは下がりましたが、それでもやはり“特別な素人”だったことに変わりはない。それがスマホ一つで誰でも発信ができる時代になり、“電波に乗る人”も、それほど“特別な人”ではなくなりました」

 SNSや動画投稿サイトで誰でも発信可能な現代では、実際に一般人があっという間に有名になるケースも少なくない。一般人と芸能人の境界線は、どんどん薄くなっているように感じるが、そんな時代において、ポンコツが芸能界で愛されるようになったのは一体なぜなのか。

「人間味あふれる“ポンコツ”は、視聴者に親近感と安心感を与えます。向こう三軒両隣どころか、町内の人はみんな顔見知りという時代には、身近に安心感を与えてくれる存在が数多くいました。それが隣の人の名前も顔も知らないことが当たり前になってきた現代人にとっては、ポンコツな芸人さんやタレントさんが“ご近所さん”の代わりをしてくれているように、私は感じています」

 ユーチューバーや、気軽に会いに行けるアイドルのように親近感のある芸能人がウケているのは、「ご近所さんの希薄化」が背景にあるのかもしれない。ご近所さんの家庭をのぞき見る代わりに、芸能人に好奇心や心のよりどころ、つながりといった安心感を求めているわけだ。