クラッシュというリスク
「トヨタ、クラッシュ」
日本時間2012年6月17日朝、日本のマスコミ各社が報じた。
Photo:トヨタ・メディアサイト
耐久自動車レースの世界最高峰、第80回ル・マン24時間(フランス、ル・マン市)のスタート5時間過ぎ、トヨタ「TS030 HYBRID」のゼッケン7号車は330km/h以上で走行中に周回遅れのマシンと接触し、宙を舞った。タイヤバリアに激突後、ドライバーのアンソニー・デビッドソンは自力でマシンから脱出。脊椎の一部負傷で全治3ヵ月と診断された。また同ゼッケン8号車はスタート10時間後にエンジントラブルでリタイヤした。
2台のコックピット上部には、TOYOTA HYBRIDのロゴ。ボディは、全長×全幅×全高=4650mm×2000mm×1030mm。エンジンは、同レース規定でガソリン仕様の最大限である排気量3.4LをV型8気筒化した。前輪にトヨタ関連会社のアイシンAW社製の電動モーター、後輪に同デンソー社の電動モーターを装備する。
現地時間6月17日午後3時、レース終了。
マスコミ各社は「アウディ、ハイブリッド車で史上初のル・マン勝利」と報じた。
アウディのマシンは「R18 e-tron クワトロ」。エンジンはディーゼル仕様の最大限の3.7LをV型6気筒化。さらにフロントに電動モーターを持ち、クワトロ(四輪駆動)とした。
今年のル・マンは、トップカテゴリーのLMP1クラスには自動車メーカーとしてトヨタとアウディの2社のみが参戦。「ハイブリッド対決!」となった。
そしてアウディが勝ち、トヨタは負けた。
この結果は、十分に予想できた。なぜなら、アウディは2000年にLMP1で参戦して以来、10回も総合優勝しているからだ。また、ディーゼルレーシングエンジンは2006年から使用しており、データが十分に蓄積している。
そのアウディに、トヨタが挑んだのだ。F1を2009年、米インディカーを2005年に撤退した同社が、あえて13年ぶりにル・マンに復帰したのだ。それもハイブリッド車を擁して。