「国内生産300万台」体制を死守しても収益性を確保できるのか。東日本大震災、タイ洪水で減産を強いられたトヨタ自動車が、いよいよ反転攻勢に打って出る。はたして勝算はあるのか。

 米国における「カムリ」「プリウス」の販売好調を追い風にして、2012年1月のトヨタの海外生産は、前年同月比10.4%増の41.9万台となり、1月としては過去最高を記録したのだ。ライバルの日産自動車、ホンダも、春節による稼働日減少が響いた中国の落ち込みを除けば海外生産を加速させたが、トヨタの回復基調が際立って見える(図(1))。

 また、国内と海外を合算した世界生産では、前年同月比16.5%増の71.4万台。これまでの過去最高である08年1月の71.9万台に迫る勢いだ。年間の生産計画でも、トヨタ・レクサスブランドの合計(連結数字とは異なる)で、12年に865万台、13年に898万台を掲げており、以前の過去最高である07年853万台を優に超える見込みだ(図(2))。

 トヨタは、2度の災害が12年3月期の生産体制に与える影響として、「東日本大震災で15万台、タイ洪水で24万台の合計40万台の減産要因」と説明している。これらの大幅な減産を挽回する大増産計画で反転攻勢をかける。

 2月6日には、昨秋から「カローラ」の生産を開始させていた米ミシシッピ工場の稼働を2直体制に切り替えて、増産体制を敷いた。投資は続く。13年までにタイ新工場の建設、インド工場の生産能力の増強を行い、さらに、14年年初までにインドネシア工場の生産能力を増強するなど、投資案件がめじろ押しだ。

 それでは、大増産を支える設備投資計画はどうなっているのか。リーマンショックを受けて、10年3月期の設備投資額は5790億円に落ち込んだが、12年3月期のそれは7200億円まで戻す見込みにはなっている。

 それでも、「この先も設備投資額は1兆円を超えないレベルで推移していく」(トヨタIR担当)と控えめだ。かつてのピーク時(06年3月期~08年3月期)には、1.4兆~1.5兆円を投下しており、かつ、現在、過去最高となる大増産計画を掲げていることを考慮すれば、「設備投資額1兆円以下」は物足りないようにも映る。