大規模閉店をしたサンドイッチチェーン・サブウェイランチなど特定の時間帯に勝負をかけるチェーンや、「高くもなく安くもない」中間価格帯のチェーンは非常に厳しい戦いを強いられている Photo:DOL

今年1月に、サンドイッチチェーン店サブウェイのフランチャイズ店を運営する、エージー・コーポレーションの倒産が報じられた。さらに過去4年半にわたり約200店舗を閉鎖していることが判明。また5月17日にはバーガーキングの大量閉店も明らかになり、多くのチェーン店の存続危機がささやかれるようになった。そこで、そのほかのチェーン店や外食産業の展望について、飲食業界の動向に詳しい経済評論家の平野和之氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)

サブウェイと戦略がソックリ
モスバーガーも苦境に

 2019年が始まってすぐに判明した大手チェーン店サブウェイと、先日のバーガーキングの大規模閉店の報には、誰もが驚いたことだろう。盤石かと思われた有名店が、苦渋の決断をした理由はなんだったのか。平野氏は次のように話す。

「サブウェイは、ランチにフォーカスしてきました。競合と比較し、プチプレミアムな価格帯にもかかわらず、女性目線で見ると店舗の高級感が乏しく、男性は満腹感を味わえないといったところが敗因でしょう。トッピングの楽しさも、ランチはビジネスマン・OLの時間との戦いに文化として定着しなかったなど、結果として集客の幅やリピーターの幅を狭めています。なによりランチメインという特定の時間帯の集客モデルでは、過当競争時代にはさらに厳しくなります」

 一方、先日明らかになったバーガーキングの大量閉店。9都府県の22店舗が対象だというが、年内には新たに内装をアメリカンにした20店舗を出店予定だと発表されている。規模縮小ではなく、リニューアルオープンといったところか。

「バーガーキングはそもそも全国100店舗しか展開していませんでした。そのためマクドナルドのようにマス広告を打てるだけの余力がない。加えて高価格でもなければ低価格でもないメニューですので、飽和状態にあるハンバーガーチェーン業界にあっては、消費者の選択肢に入りづらいです。戦略を見直し内装を変えたところで、大幅に売り上げが伸びるとも思えません。やるも地獄、やらぬも地獄です」

 バーガーキングもさることながら、サブウェイのような「プチプレミアム価格帯」と「限られた時間帯に訴求する営業形態」は、現状ではかなり“崖っぷち”だという。

「直近の例ですと、モスバーガーも第二のサブウェイになる可能性があります。プチプレミアムな価格と特定の時間帯の集客モデル、時間のかかるファストフードはサブウェイと近く、売り上げも相当厳しい数字が出ています。まだモスの場合は、朝も晩もそれなりにはメニューがあるので、V字回復の可能性もありますが…」

 モスバーガーを運営するモスフードサービスは2018年10月に、2019年3月期連結決算の最終損益が8億円の赤字になる見通しだと発表している。8月に発生した食中毒が原因だと言うが、2018年3月期連結純利益も前年比19%減の24億7000万円と業績は芳しくなかった。

 いずれにせよ、プチプレミアム価格帯などの“割高感を感じる”飲食店への風当たりは、かなり厳しいといえよう。