世界の都市に住む数億人が吸っている空気は、文字通り寿命が縮むほど汚染している。ロサンゼルスの住民の平均余命は大気汚染で約1年縮んでいる。ベネチアでは1.7年だ。だが圧倒的に大きな犠牲を払っているのはアジア諸都市の住民である。現在のような大気汚染が続けば、北京やラホール、デリーといったアジア主要都市の住民の平均余命は、大気の質が世界保健機関(WHO)の指針を満たした場合に比べて5年以上短くなるだろう。計算に使ったのは、私たちが率いるシカゴ大学エネルギー政策研究所(EPIC)が新たに編み出した「エア・クオリティー・ライフ指数(AQLI)」だ。この指数は、健康や経済に関する最先端の調査と、世界の粒子状物質(PM)汚染を約20年にわたって測定した衛星データを組み合わせている。その結果、同指数を使えば地球のどこにいる人でも、吸っている空気に関する情報や、健康で最も重要な基準、つまり平均余命への影響に関する情報にアクセスできるようになった。