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――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 自動車メーカー合併の成功例の大半は、危機が発端となっている。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)はルノーとの経営統合の可能性を探るが、投資家はこれで大きな業界再編の波が訪れると期待してはいけない。そうなるためには自動車メーカーの収益がはるかに不安定になることが必要だ。

 今月初めにFCAが提案を撤回したことで消えたと思われた両社統合の可能性が、ここにきて復活しつつある。ルノーのジャンドミニク・スナール会長は12日開かれた株主総会で、白紙になった統合計画について強く擁護した。さらに重要なことに、フランスのブルーノ・ルメール経済・財務相が先に日経アジアンレビューに対し、仏政府が15%出資するルノーは日産自動車への出資比率を引き下げる用意があると述べた。そうなれば日産が両社の統合を承認する可能性が高まるとみられ、仏政府がFCAのジョン・エルカン会長との統合交渉を再開できるきっかけにもなるかもしれない。

 ただ、投資家はあまり期待すべきではない。エルカン会長が再び提案を持ちかけるには、仏政府をパートナーにふさわしい存在だと認める必要がある。一度破談になったことで信頼関係にはひびが入っている。

 たとえ統合案がまとまっても、自動車業界で大型再編の波が続く公算は小さい。自動車メーカー同士でうまく行く組み合わせを見つけるのは至難の業であり、1998年の独ダイムラーと米クライスラーによる合併が破綻したことが今も業界幹部の頭から離れない。リーダーの個性や政治が横やりを入れることも珍しくない。