郊外型店舗主流の時代のなかで、あくまで都市型のビジネスモデルにこだわり、業績を伸ばしてきたのが家電量販店業界5位のビックカメラである。同社の宮嶋宏幸社長に今後の戦略を聞いた。(聞き手/『週刊ダイヤモンド』編集部 片田江康男)

ビックカメラ 宮嶋宏幸社長
ビックカメラ 宮嶋宏幸社長 Photo by T. Fukumoto

――業界最大手ヤマダ電機がビックカメラの本拠地である池袋に都市型店舗を出店し1年が経とうとしている。

 競争が厳しくなって大変だろうとよく言われるが、実は客数は伸び、売り上げも伸びている。私は相乗効果が出ると思っていたが、そのとおりになっている。うちにとってはプラスだ。

――郊外型家電量販店と都市型家電量販店では多くの違いがあると言われるが、具体的には何か。

 お客様の行動パターンが大きく違う。それは店作りや販促方法など店舗運営のすべての違いにつながっている。

 郊外型の場合、お客様の来店動機は一言で言えば、目玉商品狙い。つまり目的の商品がはっきりしている。それに対して都市型は通勤中やお昼休み、時間の空いたときにふらっと店に寄ることが多い。そうしてふらっと来店いただいたお客様のニーズに合うように幅広い商品を取り扱い、専門的な売り場を目指している。また、お客様に買っていただけるように背中を押すための工夫をしている。

――具体的には。

 例えば、お昼の数時間だけのキャンペーンを実施したり、マメに店舗レイアウトを変えたり、POPをうまく組み合わせて一目で商品の特性がわかるようにするなどだ。

「店に来れば何かあるのでは」とお客様に期待してもらえる売り場作りが大切だ。
 
 そもそも、当社は家電量販店の業界に分類されるが、私は「都市型家電専門量販店」だと思っている。専門コーナーの集合が一つの店、という考え方だ。