G20首脳会合は、韓国・文在寅大統領の影が薄い会合となった。同時に、G20での文大統領の動向は、過去2年間の政治の失敗を反映する出来事となった。
G20の席上での経済に関する発言内容は、韓国政府の経済運営に関する疑念を深めたのではないだろうか。また、中ロとの会談でも文大統領の期待する北朝鮮問題への協調を促進する契機とはならなかったのではないか。
ただ、トランプ大統領が南北軍事境界線にある非武装地帯訪問の際に、金正恩国務委長と面会する可能性があるとの報道が流れていたため、韓国内では世間の関心が北朝鮮に向き、国内のメディアにおいて文在寅大統領の外交的無策が目立たなかったのが、文大統領にとっては幸いであったであろう。
立ち話すらなかった日韓首脳
文大統領とホスト国の安倍晋三首相との会談は、立ち話さえも行われなかった。会談前に安倍総理が各国の首脳を出迎えた際に、8秒間ぎこちない握手をしただけだった。各国首脳を招いた夕食会も、日韓の首脳は別のテーブルに席があった。
安倍首相がこれほど文大統領との会談を避けたのは、同政権が徴用工問題で出してきた答えが、日韓両国の企業が資金を出し合って、判決の出ている徴用工に賠償しようというものであったためである。この策はもともと青瓦台も否定していたし、日本にとっては元徴用工に対する個人請求権は消滅しているとの大原則を否定する案である。日韓の外相が20分間元徴用工の問題を話し合ったというが、平行線に終わった。