ドナルド・トランプ米大統領が対中貿易を巡る緊張緩和へ動いたことを受け、市場では慎重ながらも歓迎ムードが広がった。だが投資家は警戒を強めるべきだろう。今回のような取引は他国も踏襲し始めており、気掛かりな傾向を反映している。というのも、貿易が国際政治における取引材料の一つにすぎなくなっているからだ。トランプ氏は関税措置を一時休止するに当たり、米サプライヤーから中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置の緩和で国家安全保障と貿易の問題を絡ませた。これはパターン化した動きの一つだ。トランプ氏はメキシコが国境管理を強化しなければ関税を課すと脅した。昨年12月には貿易合意を取り付けるためファーウェイ創業者の娘を巡る法的問題に介入することも可能だとさえ示唆していた。