FRB理事候補の変節、トランプ氏になびく金本位主義者Photo:Reuters

――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

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 世界が金本位制を廃止して以来、筋金入りの支持者たちはこの制度の復活を米国に求めてきた。ドナルド・トランプ大統領が連邦準備制度理事会(FRB)理事に指名する意向を示したジュディー・シェルトン氏もその1人だ。

 主流派のエコノミストらによると、金本位制は実行するのが難しい。それに危険だ。だがそうした考えはシェルトン氏指名の妨げにならない。主流派の主張が事実だとは限らないし、違う視点はFRBの判断を向上させるはずだ。アラン・グリーンスパン氏はかつて金本位制支持者だったが、FRBでの職務を立派に務めた。

 問題は、シェルトン氏による自説の展開の仕方だ。これまでは現行制度について、インフレを招くといったありもしない影響を挙げて攻撃し、金本位制度については中銀当局者の代わりに金利を決定づけてくれるといったありもしない効果を理由に評価してきた。政治的な風向きになびいて政策アドバイスを変化させてもきた。それは指名には役立つかもしれないが、FRB内部では信頼を損なわせるかもしれない。FRBは政治的独立に誇りを持っているからだ。

 「金本位制」は1つではない。初期の統治組織は金や銀の硬貨を鋳造した。FRB創設前の米国では、要請に応じて金や銀に交換する通貨を民間銀行が発行していた。FRBが誕生した後は、FRBも発行紙幣の金兌換(だかん)性を保証した。