7月20日、北越コーポレーションと三菱商事が2006年から継続してきた業務提携を解消したことで、製紙業界で停滞していた再編論が再燃している。提携解消を機に、三菱商事が保有する約19%の北越株を売却するとみられているからだ。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
15年の長きにわたって繰り広げられてきた製紙業界の“再編戦争”に、ついに終結の兆しが見えてきた。きっかけは7月20日、業界5位の北越コーポレーション(旧北越紀州製紙)が、2006年から継続してきた三菱商事との業務提携を解消したことにある。
表向きの理由は、北越の海外生産拠点の整備が進んだことで、北越が自前でも原材料の調達や国内外の販売業務を行えるようになったから、ということになっている。だが、「三菱商事の変革の過程で、製紙事業の整理に着手した」とみる向きは多い。
そのため、がぜん、三菱商事が保有する北越株式、約19%の行方に注目が集まっている。「三菱商事はシビアな会社。業務提携を解消したのに株を持ち続けるほど甘くはない」(三菱グループ関係者)からだ。
三菱商事が北越へ資本参加した経緯は複雑だ。提携締結当時、北越は業界首位の王子製紙(現王子ホールディングス)から経営統合を迫られていた。これを回避するため、三菱商事出身の岸本晢夫・北越副社長(現社長)が古巣に支援を仰いだとされているのだ。
その救援措置は奏功し、王子が北越に仕掛けた敵対的TOB(買収)は不成立に終わっている。
それでは、三菱商事の「北越株」はどこへ行くのか。