新井美江子
5月1日、米シリコンバレー銀行(SVB)、米シグネチャー銀行に続き、地方銀行である米ファースト・リパブリック銀行が経営破綻した。4月1日に三井住友銀行の頭取に就任した福留朗裕氏は、金融業界でさらなる混乱が生じる可能性や今後の収益強化分野についてどう見ているのか。19年間にわたり市場営業部隊に身を置いたマーケットのプロであり、営業部門への異動やトヨタ自動車への転籍などを経験した現場のプロでもある福留氏が、頭取就任に際し語った胸の内を明かす。

#1
日本型雇用慣行の超成功例とされたメガバンクの人事制度だが、ここ最近は「実力主義」の要素が色濃くなってきた。日本経済界の中でもずぬけて熾烈なメガバンクの出世レースの最新事情や、各役職の年収水準を、三菱UFJ銀行を例に追った。文系最高峰といわれるメガバンクの部課長の給与とは、いかほどか。

米国の利上げに端を発した米シリコンバレー銀行(SVB)の“突然死”に、スイスの金融最大手USBによるクレディ・スイスの救済合併、東芝の非上場化を巡る邦銀各行の巨額融資……。国内外の金融業界では、ビッグニュースが続く。そんな中、4月1日付で全国銀行協会会長に就任した加藤勝彦・みずほ銀行頭取に、「金利が上がる世界」の収益向上策や、巨額融資の在り方、給与のデジタル払いの影響などについて聞いた。

相次ぐシステム障害からの立て直しを託され、みずほフィナンシャルグループの社長に緊急登板した木原正裕氏も、今年で就任2年目。2023年度の役員人事には独自色が出るとみられていたが、大方の予想を裏切り、3月に発表された「木原人事」は“不発”に終わった。木原氏の意図を読み解くとともに、その過程で浮かび上がった出世頭4人の実名、および役員人事の決定の裏でひっそりと整えられた参謀部隊について明かす。

番外編
百貨店子会社そごう・西武を米フォートレス・インベストメント・グループに売却すると昨年11月に発表したセブン&アイ・ホールディングス。契約実行日は「3月中」だが、関係者の協議は混迷を深めている。その最大の原因である西武池袋本店の改装詳細案が判明。そごう・西武や地権者の反発は免れそうにないが、セブン&アイ内部では契約強行の“禁じ手”を使う案まで浮上しているもようだ。だが井阪隆一社長ら取締役4人は3月24日、物言う株主から退任要求を突き付けられた。“動乱”の炎が方々で燃え盛り、セブン&アイは窮地に追い込まれている。

米シリコンバレー銀行の経営破綻により、金融業界が揺れている。現時点では日本の金融システムへの影響は少ないとみる向きが専らだが、実は日本の地方銀行は今回の破綻によって含み損という“時限爆弾”を抱えることとなった。窮地に陥る地銀はどこか――。

#3
2月3日、銀行業界では珍しく華やかな会見が開催された。三井住友フィナンシャルグループが3月から提供を開始する個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」のお披露目会である。銀行、クレジットカード、証券、保険など、あらゆる金融サービスをシームレスに提供するスーパーアプリだが、“奥の手”のローンチで楽天グループなどからリテールの牙城は死守できるか。三井住友FGが仕掛けるリテール(個人向け)ビジネスの収益拡大改革に迫る。

#13
「金融処分庁」から「金融育成庁」への転換を掲げてきた金融庁。しかし地方銀行では、仕組み債の販売を巡り顧客からのクレームが増加。海外金利の上昇で外国債券の逆ざやも発生するなど、さまざまな問題が明るみに出ている。銀行関係者から「泣く子も黙る」と恐れられた検査局(2018年に廃止)から業務を移管され、金融機関のモニタリングを行う総合政策局モニタリング部門の屋敷利紀審議官に、各種モニタリングのポイントや今後の強化点について聞いた。

#2
三井住友銀行のトップが4月に交代する。新頭取に就任するのは、大方の本命予想を裏切る福留朗裕氏となった。この人事が浮き彫りにしたのは、銀行業界の出世の王道に変化が生じつつある事実だ。では、「新エリートコース」とは何か。3メガバンクの頭取の顔触れからそれを読み解くとともに、次の目玉とされる三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の次期社長人事も予想する。福留氏の人事は異例とされたが、三菱UFJFGのトップ人事でサプライズはあるか。

#12
この1年強、地方銀行業界は統合ラッシュに沸いている。愛知銀行と中京銀行、ふくおかフィナンシャルグループと福岡中央銀行、横浜銀行と神奈川銀行……。中でも「1県1グループ化」パターンは、地銀再編の新たな潮流となりそうだ。これらの統合事例から読み解ける次の再編の“目玉案件”や、ここへきて地銀が合従連衡に必死にならざるを得ない理由を明らかにする。

#1
SMBC日興証券は2月13日、金融商品取引法違反で起訴された相場操縦事件について、東京地方裁判所から有罪判決を受けた。しかし、三井住友フィナンシャルグループでは持ち株会社のトップはもちろん、当の日興の社長ですら引責辞任していない。翻って2021年、システム障害を相次ぎ発生させたみずほフィナンシャルグループでは、みずほ銀行と持ち株会社の両トップの首が取られた。「全ては金融庁のさじ加減で決まるということだ」(銀行幹部)――。監督官庁である金融庁の対応に銀行業界には不信と諦めが募るが、三井住友とみずほの“事件処理”は何が違っていたのか。

#6
金利が上がれば、銀行の収益は増える――。だが地方銀行からは「金利が上がっても、向こう5年はむしろつらい」とのぼやきが漏れ聞こえる。なぜか。ダイヤモンド編集部は地銀対象の独自アンケートの結果からその理由を探り、先行き懸念の一大要因である「日本国債の金利上昇リスク」を試算してランキングを作成した。含み損が拡大し、首が回らなくなる地銀はどこか。

#2
コロナ禍に国が打ち出した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が今夏以降、本格化する。金融機関にとっては、安定的で“リスクフリー”のおいしい貸し出しが剥がれ落ちることを意味する。ダイヤモンド編集部は独自アンケートで、地方銀行のゼロゼロ融資残高を調査。返済本格化が地銀収益に与える影響を試算し、「実質的」本業利益ワーストランキングを作成した。結果から浮かび上がってくるのは、地銀の3割が“危機”に突入し得るという目を背けられない事実だ。

#6
そごう・西武売却を巡る騒動は、いまや直接の利害関係者だけの問題にとどまらなくなっている。今年に入り競合百貨店13社の労働組合幹部がセブン&アイ・ホールディングスに要請書を提出、そごう・西武労働組合への全面支援を表明した。池袋にゆかりのある他業態の労組も、「取引先への誠実な対応」などを求める署名活動を行った。そごう・西武労組の寺岡泰博中央執行委員長が、こうした動きの背景や労使交渉の問題点、そしてセブン&アイへの要求内容について明かした。

#4
1月24日、百貨店子会社そごう・西武の株式譲渡の延期を発表したセブン&アイ・ホールディングス。背景には、関係者の合意がないまま売却を“ゴリ押し”して巻き起こった「池袋動乱」がある。このまま事態の紛糾が続くようなら、待ち受けるのは井阪隆一・セブン&アイ社長体制の崩壊だ。では、セブン&アイが経営刷新に踏み切った場合、井阪氏の後任になり得るのは誰なのか。その実名と、セブン&アイでささやかれる後継人事の懸念について明かす。

#3
1月24日、セブン&アイ・ホールディングスが、米フォートレス・インベストメント・グループへのそごう・西武の株式譲渡の延期を発表した。背景には、関係者の合意がないまま売却を“ゴリ押し”して巻き起こった「池袋動乱」がある。事業転売でもうけたいフォートレス、ディール成立の成功報酬が欲しい三菱UFJモルガン・スタンレー証券、そして池袋出店で競合に一泡吹かせたいヨドバシホールディングス――。誰もが自身の利益を最優先する中、その利害を調整できずにいるセブン&アイの、1年間の稚拙な交渉の全内幕を明かす。

#37
2021年以降、システム障害が立て続けに発生したみずほフィナンシャルグループ。混乱からの“再出発”を託された木原正裕社長に、23年に向けたみずほ復活の道筋や、みずほ証券を通した楽天証券への出資意図、今後の投資戦略などについて聞いた。

#34
SBIホールディングスへの出資、相場操縦事件を起こしたSMBC日興証券への行政処分と、2022年は話題に事欠かなかった三井住友フィナンシャルグループ。太田純社長に、クレジットカードを核とする新たな収益戦略の展望や、自身の後継者に求める“素養”などについて、洗いざらい聞いた。

#31
マーケットのボラティリティの高まりをもビジネスチャンスにできるメガバンクグループと違い、地方銀行は2023年、大きく三つの業績悪化リスクに悩まされそうだ。その三つのリスクについて整理するとともに、自身の経営の在り方を切々と問われる中、23年初頭の地銀業界において“駆け込み再編”が選択肢になり得る理由を明かす。

#30
各国の利上げなど、不確定要素への対応に追われる銀行業界だが、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の業績は絶好調だ。2022年4~9月期に連結業務純益(本業の利益)で中間期ベース過去最高をマークし、懸案だった銀行単体の収益も純利益で3メガバンク首位を奪還した。そんな三菱UFJFGの亀澤宏規社長に、収益底上げの秘密を聞いた。
