元大王製紙会長の井川意高氏Photo by Kazutoshi Sumitomo

通称「IR実施法」が昨夏、国会で成立した。この法律は、ときに「カジノ法」と呼ばれ、世の人々の関心は、カジノ、とりわけ賭博やギャンブルといったところにのみ注目されている。だが、そのカジノとは一体なんなのか。私たちはよく知らない。「約106億8000万円ものカネをカジノでスった」、元大王製紙会長・井川意高氏(54)に解禁目前の「日本版カジノ」について話を聞いた。(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

カジノはパチンコよりも
クリーンである

――いよいよ日本版カジノが解禁となります。これをどう見ておられますか?

 アメリカやマカオ、シンガポールなどでカジノリゾートを運営している外資が入れば、大丈夫ではないですか?ノウハウを十分持っているわけだし。よく勘違いしている人がいるけれど、あれは税金を使ってカジノを作ろうという話ではなくて、国が認めた立地区域に民間事業者が施設を造って、外国人がやって来てお金を落としていく…。いいと思いますよ。外資を誘致すれば、外国から初期投資のお金を持ってきてくれるわけだし。

――とはいえ、カジノといえば大金を失うというイメージがありますが。

 いっぱいスりますよ。ここに見本がいるじゃないですか(笑)。ただ、日本中どこにでもあるパチンコ店に比べれば、カジノはいろんな意味でクリーンだと思いますよ。

 パチンコ店は、2018年11月時点で全国に9300弱あります。ちなみに、コンビニ最大手のセブン-イレブンは2万店超、ローソンで1万4500店超。パチンコは大手コンビニと大差ないくらい、ありふれたギャンブル施設なんです。でもね、ギャンブル施設が街中で堂々と営業している国なんて、先進国では珍しいですよ。駅前なんて、世界標準で見れば、あってはいけないような場所です。

 店の中では、スーパーのレジ袋からネギをのぞかせた主婦がギャンブルに興じている。さらに、パチンコは「遊戯」という建前で呼ばれていて、ギャンブルではないということになっていますが、これもとんでもない話。そんなのウソだって子どもでも知っているでしょう?こういうゴマカシは最悪です。

 その点、カジノはちゃんとギャンブルだと言っていて、規制された場所に造られています。ラスベガスのホテルにあるカジノではね、一般のフロアとカジノのそれを明確に区別しています。カーペットの色からして違う。一般のフロアからカジノエリアに子どもが一歩でも足を踏み入れようものなら、係員が飛んできて制止しますから。そうした区別というか規制が、カジノではきちんとされているんです。

 それに、カジノは日本にできたとしても、最初は3ヵ所まででしょう?1万店近くもパチンコ店がすでにあって、競馬や競輪など公営ギャンブルも盛んなんだから、今さらギャンブル依存者が増えるんじゃないかなんて、実にバカバカしい議論だと思いますけどね。まずはパチンコをきちんとギャンブルだと認めて、カジノと同じくらい、立地などを厳しく規制する方が先でしょう。