これに対して、筆者がダイヤモンド・オンラインの記事で書いた文章はこうだ。

「国際関係は『Tit for Tat』(しっぺ返し)で成り立っているので、短期的な自国の利益だけで物事を判断すると、後々逆の立場に自国が置かれた場合に、自身に同じ論理が跳ね返ってくることがある。その意味で、貿易の規制につながる行為は、TPP11など自由貿易を促進することを自国の国益と考える日本にとって、極めて慎重にならなければならないことである。ただしそれでも筆者は、今回の日本の措置はアメリカが中国に行っているような対抗措置とは異なり、国際問題化させるべき問題ではないと考える……」

「しっぺ返し」とは日本ではなく
文在寅政権に向けるべき言葉

 つまり、一般論としては外交上の対抗措置をとればしっぺ返しの話になるが、今回の場合は、そもそも国内措置の問題であり、韓国が国際問題化するべき問題ではない、という文脈で語っているにすぎない。むしろしっぺ返しは、文在寅政権に向けるべき言葉である。前回の記事では、世耕大臣が今回の措置と徴用工問題を関連付けたようなツイートをしたことに関連して、以下のように述べた。

「心情的に言えば、これは日本側としては主張したい話ではある。昨年の韓国最高裁の判決以降、日本企業の韓国投資はいつ差し押さえられるかわからない脅威に晒されている。このことは、韓国で日本企業の投資保護が十分に行われていないことを意味し、今回の日本の措置以前に、そもそも日韓の経済協力関係が損なわれる事態が発生していることを、日本側としては言いたかったのであろう。

 しかし、今回の貿易優遇措置の解除という安全保障貿易の問題と、徴用工問題がリンクしているかのように匂わせてしまったことは、韓国政府に反論の隙を与えてしまったし、メディアに対しても今回の措置が報復的な経済制裁というイメージを与えた一因になっているかもしれない」

 そもそも、いつ日本企業の財産が差し押さえられるかわからない状況をつくり出しておきながら、「司法の判断だから」で解決の意思を見せず、日本からの調停提案も拒否している韓国が、日本側をWTOに提訴するという方が虫のいい話である。これこそしっぺ返しなのではないか。

 今回の措置は、徴用工問題に対する外交上の報復として行われたしっぺ返しだということではない。日韓の国際問題に関して、片方では日本から提案された国際的な紛争解決を国内司法の問題として拒否しながら、自国に問題があるときだけ日本を国際的な紛争解決に引きずり出そうとしていることが、しっぺ返しだということだ。