米動画配信大手ネットフリックスは、契約者基盤を下支えするとともに、ハリウッドの大手映画会社がこれまで牛耳っていた領域に攻め込むため、製作費が1億ドル(約109億円)以上の「ビッグバジェット(大規模予算)」と呼ばれる超大作映画に注力している。
映画予算に詳しい筋によると、ネットフリックスは超大作3作品の製作費として計5億2000万ドルを投じる予定だ。3作品はいずれも、巨額投資の元を取るために通常行われる幅広い劇場公開という形は取らない見込みだ。
ネットフリックスは今月、ドウェイン・ジョンソン主演のアクション映画「Red Notice(原題)」を約2億ドルの予算で製作することで合意。人気俳優のライアン・レイノルズや女優ガル・ギャドットが共演するこの作品は来年、国外のロケーションで撮影される予定だという。さらに、別の関係者によると同社は今年、約1億5000万ドルをかけたSFアクション「6 Underground(原題)」(マイケル・ベイ監督、ライアン・レイノルズ主演)や、歴史ドラマを描いた作品「アイリッシュマン」(マーティン・スコセッシ監督)を配信する予定。
「アイリッシュマン」は最もリスクの高い作品だ。観客は真面目なテーマに関心がある大人に限られそうだが、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシなどのスター俳優を最新の視覚効果を用いてさまざまな年齢の姿で出演させるため、全世代向けアクション・アドベンチャーと同程度の製作費がかかっている。作品に近い関係筋は、少なくとも総額1億7300万ドルを要するといい、別の関係筋は2億ドルを超えるとの見方を示した。