中国が国内景気の減速と対米貿易摩擦の悪化に対抗するため「資金の水門」を開いているとしても、7月の弱い経済指標にその兆候は見られなかった。鉱工業生産は前年同月比4.8%増と、伸びはこの17年で最も低い水準に沈んだ。小売売上高と固定資産投資の伸び率はそれぞれ5.7%、7.6%と、いずれも市場予想に届かなかった。経済を信用であふれさせ、企業活動にカンフル剤を打ち込みたいとの反射的な衝動も、従来ほど強くは表れていない。7月の新規人民元建て融資は1兆0600億元(約16兆円)と、こちらも市場予想を下回った。これらの数字は目先、世界経済を巡る懸念を強めることになるだろう。だが、ここには大きな希望の光が垣間見える。中国は長期的には、景気刺激策を連発するパターンから脱却しなければならない。実現すれば、中国そして世界全体にも恩恵をもたらす変化だ。中国にはもはや、世界的な金融危機の最中、およびその後の2015〜2016年に実施したように、金で問題を解決する経済的余裕はない。
中国指標の相次ぐ下振れ、実は「朗報」
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