人と違うこと、新しいことに挑戦する若きイノベーターたちは、どんな原体験に支えられ、どう育ってきたことで、そんなたくましさを得たのか。今回は、2018年に投資ファンド、ミッション・キャピタルを創業し、社会課題の解決と財務的利潤の両立を実現する「インパクト投資」に取り組む金武偉(キム・ムイ)さんです。(聞き手/ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)

キャラの濃い兄の影響と
父から教わった人生観

金武偉 氏(ミッション・キャピタル マネージング・パートナー)
Photo by Masato Kato 拡大画像表示

──お兄さんはコンサルタントのムーギー・キムさん、お母さんは『一流の育て方』(ダイヤモンド社)などの著書のある育児コラムニスト、ミセス・パンプキンさん。どんな子ども時代でしたか。

 出身は京都です。桂離宮のある辺りで、見えを張って言うと嵐山の近く、実際は阪急沿線のド田舎。のどかな所です。

 母は子育てに関する本を書いていますが、僕自身は63歳で他界した父と、2歳年上のキャラの濃い兄の影響を強く受けて育ったと感じています。韓国は家父長制なので、年上の男には逆らえないのです。姉が2人いるのですが、姉たちはむしろ、父や兄には「あまり関わってはいけない」と、距離を置いていたように思います。

 僕は末っ子でかわいがられましたが、可もなく不可もない、主体性のない子でした。逆に兄は主体性しかない人で、子どもの頃は常に兄に付き合わされていました。

 兄は身長も体重も私の3割増しで、小学生時代、プロレス番組を全て見ていた兄にブレーンバスターを本気でかけられて、脳振とうを起こしたり目から出血して病院へ行ったこともあります。兄が熱帯魚にハマっていた時期は、魚を買うからとお年玉を巻き上げられましたね。一緒に習っていたピアノは、兄が「ピアノなんて女がやるものだ」と言ってやめると、僕もやめてしまいました。

 小学校4年生からは家から車で20分くらいの所にある南郷塾という進学塾に通いました。これも、兄や姉が行っていたので当たり前のように、です。