前回まではインパクト・インベストメントを実践する大企業に焦点を当て、その目的や投資に当たっての苦労などを論じた。では、投資を受けている企業は、何を求め、どう評価しているのだろうか。今回は投資を受けている企業の担当者にインタビューを行い、インパクト・インベストメントのメリットや「こんな投資ならいらない」という本音を語ってもらった。
タンザニアのBOPベンチャーに
出資したGDFスエズ社
アフリカ最高峰のキリマンジャロを有する国、タンザニア。このタンザニアの農村に電力販売ビジネスを展開しているのが、ベンチャー企業であるEGGエネルギー社だ。EGGエネルギー社は、米国マサチューセッツ工科大学で博士号を取得したジェレミー・ヤン氏が2009年6月に立ち上げたBOP(Base of the Pyramid)ビジネスベンチャーで、電気の通じていない農村地域に太陽光発電を利用した充電スタンドを立ち上げ、そこで充電した小型蓄電池を各家庭に届け、使い終わった蓄電池を充電スタンドに持ち帰る「スワップ方式」で電力を販売している。
このBOPベンチャーに、インパクト・インベストメントの手法を通じて出資しているのが、フランスに基盤を持つ世界第2位の電気事業者・ガス事業者の大手、GDFスエズ社だ。GDFスエズ社は2011年6月に、エネルギー利用機会の拡大に特化したファンドであるSAS GDF Suez Rassembleurs d Energies(筆者訳「GDFスエズ エネルギーのための結束投資」、以下SGSRE) を立ち上げた。
今回は、EGGエナジー社CEOのジェレミー・ヤン氏と、GDFスエズ社のラウル・ヴィンコッテ氏、つまり投資する側とされる側の双方に話を聞いた。